経営改善計画策定支援事業

中小企業の皆さまの経営改善を促進します。

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概要

経営改善計画書の概要

経営改善計画書は、必ず事業者の”腑に落ちる”ものにすることが求められます。事業者の理解・納得が得られなければ、絵に描いた餅になってしまいます。

その為に、計画は実態を調査することから着手します。
具体的には、下記項目を外部専門家が事業者にヒアリングを行いながら、共同で作成します。

次に、再生事業と異なり数値基準自体は設けていませんが、最終的に金融機関の同意を得るため改善プランを数値化する必要があります。

申請者である事業者と認定支援機関は、それぞれ計画策定と同意に関して次の役割を担います。

  • 計画策定者 - 事業者(申請者)

    自社で少なくとも向う3年間取り組む実現性の高いアクションプランを確定し、そのプランを着実に達成することが求められます。
    また、計画策定ののち進捗状況を金融機関に報告(モニタリング)することが求められます。

  • 策定支援者 - 外部専門家(認定支援機関-税理士・公認会計士・弁護士・中小企業診断士・民間コンサルタントなど)

    事業者が策定する計画をサポートする役割を担います。
    但し、財務・税務・金融の知識を発揮し全ての取引金融機関の同意を得るまでの支援が求められます。
    また、計画策定ののち進捗状況を金融機関に事業者が報告(モニタリング)する際にサポートすることが求められます。

  • 計画同意者 - 取引金融機関(信用保証協会など認定支援機関以外の機関も含む)

    計画策定に直接タッチしませんが、金融支援の方向性のアドバイスをします。
    全行の同意を必要とするため、バランスの取れた計画とする必要があります。
    尚、当事業に於ける『同意』は、計画書に明記されている将来の融資計画を保証するものではなく、”事業者が改善に取り組むことに賛同する”程度の意味合いです。

「経営改善計画書」を通して求めるものは、自社の事業性、具体的には事業で生み出すCF(キャシュフロー)です。
融資を実行する金融機関は、このCFが自行の融資に対する返済財源と見做します。
その為、従来のCFのレベル、今後改善に取り組んで生み出すことが可能なCFのレベルを算出し、経営にあたることが求められます。

経営改善計画策定のフロー

経営改善計画の策定は次のフローに沿って行います。

過去数期分の財務諸表データから事業の実態分析を行い、窮境要因を抽出し課題を把握して対策を講じます。
希望する計画数値から逆算して、『対策→課題→窮境要因』と遡る手法は採らないようにします。
決して、「絵に描いた餅」にならないように留意願います。
センター事業に関し、数値基準はありません。実現可能性を念頭に計画作りに取り組むことが期待されています。

策定ポイント

経営改善計画書策定のポイント

当センター事業は、「経営改善計画書の策定」「3年間のモニタリング」が主要な業務となります。
モニタリングは、当初策定した計画どおりに事業が推移するかどうかを3年間チェックするものなので、「経営改善計画」の出来不出来が当事業の成否を左右します。

経営改善計画書の各項目

  • 「表紙」

    経営改善計画書は事業者が策定するものなので事業者名が表記されます。(通常は外部専門家の名称は表記しません。)

  • 「はじめに」

    事業者の言葉で記載します。(省略可能です。)

  • 「債務者概況表」(必須)

    債務者概況表 事業者の過去分析に基づき今後の方針決定するための大変重要な項目です。
    この債務者概況表の作成で、全工程の半分が経過したものと言えます。
    6つの分野で構成されており、当初①~④で実態分析を行い、以降の項目と並行して⑤・⑥の内容を検討します。

    • ①「対象先・概要」

      企業概要を確認します。株主構成と役員構成で事業承継の可能性・難易度を確認します。

    • ②「財務内容及び問題点」

      税務会計で作成した『決算書』を、企業会計基準に基づいた『実態バランス』へ変換し、事業者の真の姿を確認します。 実態バランスの求め方

    • ③「業績推移等」

      キャッシュフローと借入金のバランスを確認します。 実質債務超過解消年数と債務償還年数について

    • ④「銀行取引状況」

      各金融機関のシェア率の推移を確認します。

    • ⑤「現状と課題認識」

      ①~④までの項目の検討による現状分析と、事業者に対するヒヤリングで窮境要因と課題を抽出します。

    • ⑥「経営改善計画策定方針」

      ⑤をもとに向う3年間のアクションプランを確定します。

  • 「概要」(必須)

    課題・問題点の把握から対策までを考案します。
    ポイントは、「窮境要因」を特定し、「課題」を抽出し「対策」講じるという観点で、次のような様式も考えられます。 経営改善計画の概要

  • 「企業集団の状況(会社概要表)」(必須)

    事業者と企業の資金・資本面での貸借関係を確認します。
    公私混同が生じ、無用なキャッシュアウトが生じて企業体質を弱体化していないかをチェックします。
    事業者にヒヤリングをして、共通認識を持つように図式化します。

  • 「ビジネスモデル俯瞰図」(必須)

    事業者の”商流”・”物流”・”金流”・”情報流”をベースに仕事の流れを図式化します。
    図式化することにより、対象企業の『付加価値』が何処で、どのくらい産み出せるかを確認します。
    過去・現在・将来の事業性を見極め、事業継続の有無を決断することも考えられます。
    当計画策定の中で、「債務者概況表」と並ぶ重要な項目です。

  • 「資金実績表」(必須)

    前期と今期の2期の月毎の大まかな資金の流れ・大小を確認します。
    業種により季節変動が生じるタイミングが異なるため、年間で帳尻があっても月によっては資金ショートが生じないかを確認します。
    いくら立派な経営改善計画を策定しても、資金が一時でも不足すれば<絵に描いた餅>になってしまいます。

  • 「計数計画・具体的な施策」(必須)

    具体的な施策は、向こう三年間で取り組む項目を絞って計画を立てます。
    上記項目を検討すると、様々な課題が表面化しますが重要なもの・効果の高いもの3~4点に絞り込みます。
    再生事業の実抜計画・合実計画の様な数値基準は設けられていないため、確実に成し遂げることができる施策とする必要があります。
    「表明事項」の記載は以下の通りです。

    • 対象企業 事業者の代表者名を明記します。

    • 主要債権者 メインバンク支店名もしくはサブメイン支店名を明記します。

  • 「実施計画」(必須)

    上記で採択した具体的な施策は、役割分担と効果を数値化して明記し、当該計画年に反映させます。

  • 「計数計画」(必須)

    計数計画は以下の項目に区分されます。一部省略が可能な項目がありますが、金融機関との協議の上判断する必要があります。

    • ① 損益計算書と課税所得

    • ② 貸借対照表

      (省略する場合でも実態純資産の予測値を算出する必要があります。)

    • ③ キャッシュフロー計算書

      (損益計画ベースの「簡易キャッシュフロー計画」及び「借入返済計画」で代用することが出来ます。)

    • ④ 金融機関別返済計画

    • ⑤ 金融機関別保全状況

      (金融支援が債権放棄でない場合は、省略することができます。)

実抜計画・合実計画

実抜計画・合実計画

経営改善計画は、センター事業が始まる前までは、下記の2つの計画を示していました。
中小企業の場合は、「合実計画」の要件を満たしていれば、自動的に実抜計画の要件を満たすことになっています。

  • 「実抜計画」 :実現可能性の高い抜本的な経営再建計画

    • ・概ね3年以内に債務者区分が正常先となること。

    • ・関係金融機関の同意を得られること。

    • ・売上等の予想数値が厳しめに設定していること。

  • 「合実計画」 :合理的かつ実現可能性の高い経営改善計画

    • ・計画期間が概ね5年以内(中小企業の場合、5年を超え概ね10年以内)であること。

    • ・計画期間終了後の債務者区分が正常先となること。

    • ・全ての取引金融機関において、支援を行うことについて文書その他により確認できること。

一方、「中小企業再生支援協議会」での再生計画では、下記の3項目が要件となります。

  1. 3年以内の黒字化
  2. 5年以内の債務超過解消
  3. 有利子負債の対キャッシュフロー比率が概ね10倍以下

上記のように、一般に云う「再生計画」・「改善計画」は、様々な手順に基づき債務者区分が行われます。
その要件を満たすことにより、債務者区分が維持或いは上がります。

センター事業による「経営改善計画」は、数値目標を特段設定していません。
その為、金融機関の意向を良く確認せずにリスケジュールを要請しても、同意を得ることは非常に困難です。
その理由は、リスケジュールは条件変更扱いとなり、債務者区分が下がるからです。その結果、金融機関は必要な時に融資をすることが出来なくなり、経営が成り立たなくなることを懸念するからです。
良くメインバンクなどと打合せを行ってから、着手するよう願います。
コミュニケーションスキルが、特にこの事業では問われることになります。