経営改善計画策定支援事業

中小企業の皆さまの経営改善を促進します。

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中小企業を取り巻く環境

中小企業・小規模事業者を取り巻く環境

中小企業庁が公表した事業者数の推移により、平成21年から平成24年の3年間で、全国で事業者が35万者減じたことが分かりました。

山口県では、ピークだった昭和61年と平成24年を比較すると、1/4もの事業所数が減少しました。

また法人に限れば、全体の70%強を欠損法人(赤字企業)が占めています。経営者個人の所得税との兼ね合いで「租税回避」を目的としている場合 も考えられますが、公私混同をして資金面の実態が把握できなくなってしまってるケースも少なからずあると考えられます。

また、日本創成会議が平成26年5月に公表したレポート「ストップ少子化・地方元気戦略」、いわゆる「消滅自治体レポート」で以下の市町がリストアップされました。

  • 2040年に若年女性が50%以上減少し人口が1万人未満-「周防大島町」・「上関町」・「平生町」・「阿武町」

  • 2040年に若年女性が50%以上減少し人口が1万人以上-「萩市」・「長門市」・「美祢市」

これは地方自治体が運営継続していくことの難易度を表しているだけですが、ビジネスに少なからず影響を与えることも否めません。

以上のように、中小企業を取り巻く環境は厳しい状態が続いており、一朝一夕に好転するとは考え難い状況です。

このような環境下で、中小企業が生き残るためには従来の経営スタイルの延長で判断するのではなく、外部環境をしっかり把握し足元固めをすることが求められます。

センター事業に取組むということは、その機会を得ることだと言えます。

国の中小企業施策

中小企業施策の変遷

平成のバブル崩壊後、国は様々な中小企業をサポートする施策を各省庁を通じて講じてきました。
従来の施策は、”中小企業は弱者”として扱ったものが多くありました。
実際、当センター事業も、中小企業金融円滑化法終了に伴う受け皿(セーフティーネット)としてスタートしています。

しかしながら、平成26年を境に「産業競争力強化法」など従来のスタンスとは異なる施策が矢継ぎ早に施行されました。

「産業競争力強化法」は、一般的に大企業の再編を円滑化するためのものと考えられています。しかしながら、「中小企業の活力の再生」の章を設けているように、全ての事業者が対象です。基本テーマは、『事業の新陳代謝の加速』です。漫然と全ての事業者の延命を意図していません。

「経営者保証ガイドライン」は、業績の厳しい事業者の早期廃業を明確に促しています。
一方で、一定の条件を満たした企業に対し個人保証なしでの融資を金融機関に促しています。

このように、国の施策は大きな転換点を迎えました。
事業を継続・強化するために、自社を再度見つめ直し「自社独自のビジネスモデル」が成り立つことを期待しています。
これは結果的に、自社独自の付加価値(≒利益)を産み出しているかを判断することになります。
ポイントは、『経営資源が不足する中小企業は大企業と競合することなく自社の得意分野である”ニッチ分野”で確実に収益を上げることを目指す』、ことと言えます。競争回避(価格競争に陥らない)が原則です。

自社の立ち位置

他人資本(借入)に関する自社の立ち位置の確認

日本銀行が毎月公表する統計の中に、「貸出約定平均金利」があります。

平成27年2月時点での全国平均レートは、「地銀-1.156%」、「第二地銀-1.495%」、「信用金庫-1.855%」でした。
地域・金融機関により実際の利率は異なります。

山口県下でも優良企業に対する貸出レート(融資利率)は、制度融資を除いても全国平均並み以下のところもあります。
また、「経営者保証ガイドライン」の趣旨に沿って、無担保・無保証の融資を低レートで実行しているケースもあります。

自社が上記と同程度のレート、或いは無担保・無保証で融資が受けることが出来るのであれば、金融機関と良好な関係が築けていると言えます。
(格付け-正常先)

反対に、7.0~8.0%のレートでないと融資を受けることが出来ない、常に保証・担保の状況をもとに融資判断をされるのであれば、金融機関は御社に対し厳しい評価をしていると考えられます。
(格付け-要注意先以下)

その為、借入金の元本返済負担と金利負担が経営方針の選択を狭めており、事業を抜本的に見直すなど対策を講ずる必要が生じていると考えられます。

自社の格付け

自社の格付けと借入バランス

上記資料の通り、金融機関は融資先企業を、「正常先」「要注意先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」に格付けします。
金融機関毎に判定する基準が定められているため、同一企業に対して異なる評価となることもあります。

一般的に、各格付けによって金融機関は以下の様に取り扱います。

  • 「正常先」-融資に積極的・融資条件も緩やか。

  • 「要注意先」-融資条件が厳しくなり、新規融資の実行が難しくなります。

  • それ以下の区分-事業主の経営姿勢によっては融資残の回収を検討します。

「正常先」以外と評価された事業者は、経営体質改善に向けた対策に取り組む必要があります。
『経営改善計画』は、下位に格付けされた事業者を「正常先」にランクアップさせるための取組みと言えます。

この中で当センター事業では、「要注意先」企業が対象となります。
「正常先」も経営基盤をより強固とするために取り組むことが推奨されています。

「破綻懸念先」以下の企業は実質的に取り扱うことが困難と考えます。
その理由は、事業者には私財提供を始めとしたより踏み込んだ経営者責任が求められ、金融機関からの一層の支援がないと「正常先」へランクアップすることが困難だからです。公的機関である「中小企業再生支援協議会」が介在しないと、寄付金課税等の税制面のリスクも考えられます。

債務者区分 説明 上段:債務者区分 / 下段:説明
① 正常先 業況が良好であり、かつ、財務内容にも特段の問題がないと認められる債務者をいう。
② 要注意先 金利減免・棚上げを行っているなど貸出条件に問題のある債務者、元本返済若しくは利息支払いが事実上延滞しているなど履行状況に問題がある債務者のほか、業況が低調ないし不安定な債務者又は財務内容に問題がある債務者など今後の管理に注意を要する債務者をいう。
(要管理先) 要注意先の債務者のうち、当該債務者の債権の全部又は一部が要管理債権である債務者をいう。要管理債権とは、要注意先に対する債権のうち「3ヶ月以上延滞債権(元金又は利息の支払が、約定支払日の翌日を起算日として3ヶ月以上延滞している貸出債権)及び貸出条件緩和債権(経済的困難に陥った債務者の再建又は支援を図り、当該債権の回収を促進すること等を目的に、債務者に有利な一定の譲歩を与える約定条件の改定等を行った貸出債権)」をいう。
③ 破綻懸念先 現状、経営破たんの状況にはないが、経営難の状態にあり、経営改善計画等の進捗状況が芳しくなく、今後、経営破綻に陥る可能性が大きいと認められる債務者(金融機関等の支援継続中の債務者を含む)をいう。
④ 実質破綻先 法的・形式的な経営破綻の事実は発生していないものの、深刻な経営難の状態にあり、再建の見通しがない状況にあると認められるなど実質的に経営破綻に陥っている債務者をいう。
⑤ 破綻先 法的・形式的な経営破綻の事実が発生している債務者をいい、例えば、破産、清算、会社整理、会社更生、民事再生、手形交換所の取引停止処分等の事由により経営破綻に陥っている債務者をいう。

【自己査定基準:金融庁の金融検査マニュアルより抜粋】